私なりの答えは最後に書きます。
例の秋葉の事件で、「犯人がネット掲示板にハマッてた」「ゲームが好きだった」とかで、またネットやゲームを批判する論調の報道を見かけるようになりました。正直、もううんざりです。
どうしても、ネットやゲームを「悪者」にしたい人たちがいるみたいです。
これに便乗して「ネット規制法」なる馬鹿法律も推進されるかもしれません...あほくさ。
ちょうど、「頭の古い人は新しい技術や文化を「悪いもの」として見ている」例として、こんなニュースがありました。
総務省がネットの犯行予告を自動検知するシステム開発に着手
総務省がインターネットや携帯電話の掲示板に書き込まれた犯罪予告を自動的に発見し、警察など関係機関に速やかに報告するシステムの開発に乗り出す。
そのニュースが出たその日のうちに、今度はこんな話が報じられました。
犯行予告収集サイト「予告.in」公開 「0億円、2時間で作った」
矢野さんは「2chで犯行予告を探し、通報しているボランティアは多い。そういった“ネット上の良心”をリソースに、人手で探す人海戦術のほうが、より精度が高いだろう」と考え、CGM(Consumer Generated Media)型防犯システムを発案したという。
痛快、そして素晴らしい。最大級の讃辞を送りたいです。
私も「税金の無駄遣いだなぁ」とは思いましたが、仕事も忙しかったし、代替案を作るまでには至りませんでした。
この「予告 in」についてはすでにたくさんの方々が「数億円はかかる、と言ったシステムを2時間で作って、役人を出し抜いた ! 素敵 !!」とかコメントを付けておられることでしょうが、私が注目したのは「人手で探すほうがイイんじゃない ?」というところ。
総務省案がなんで「自動」でなければならないのかを考えると、「ネットなんて犯罪者予備軍の巣窟なんだから、客観視できる機械が自動巡回しないとダメだろう」「善意による通報なんて期待しちゃいない」という思考が透けて見えてきます。あ、もちろん「予算をたくさんぶんどって、関連会社に儲けさせてやって、俺らの懐も...イッシッシ」とかいう下衆な考えもよぎりましたけど(苦笑)。
対して、矢野さんの考えは「ネットにもイイ人はいっぱいいるよ、彼らに情報提供を呼びかけたほうが確実だし、安く済むよ」というもので、私はこちらに大いに同意しますね。実際、今回の事件で「ネットに予告があった」ことが判明したのだって、誰かが「こういう話を見た」と垂れ込んだからですし。
で、そういう人が「自分が警察に通報するのはちょっと怖いな」と及び腰なことはよくあるので、「じゃあ、ココ(予告 in)に教えてくれれば代わりに通報しとくよ」という窓口を設置して通報のハードルを下げるのは、とても名案だと思います。そして、それを即座に作って示して見せた行動力もお見事。私のように口で言うだけなら簡単ですからね(苦笑)。
こういう窓口の認知度が上がって、また通報する人も増えれば、数億円をかけずともお役所が欲しかったシステムは出来上がるんですよね。「善人」もまだまだたくさんいますよ、とよくぞ代弁してくれました。
まだ「警察に通報しまくってたら警察がウチまで来てしまった」とか前途多難な感じ(苦笑)ですけれど、ぜひともがんばっていただきたいです。
さて、タイトルの問いについて、私の答え。
ネットなんて「ただのインフラ」なんだから、善も悪もないですよ。じゃあ、たくさんの痛ましい交通事故が起きている道路は「悪」ですか ? たまに「見通しが悪くて事故が起こりやすい道路」はありますけどね。
ネットコミュニティにしてもそう。ただネットを介して人が集まっているだけなので、そりゃ善人も悪人もいますよ。そして、多くは「普通の人」なのも、一般(オフライン)のコミュニティと同じですよ。「渋谷は青少年による、または青少年を対象にした犯罪が多いので、青少年の立ち入りを制限すべき」というのが馬鹿げているのを理解できても、「ネット規制」についてはそう思えない人たちが、私には不思議でならないですわ。
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[追記]
そうそう、「自然言語解析」とか「文脈理解」とかの技術ってまだまだハリボテで、ロクに動かない(某blogマーケティング会社の技術の人の話)んですよ。それを「犯罪予告」だけ抜き出させても、ちゃんと精度が出るわけがないですから。
誤検知しそうな例。
「○○さん(俳優)の目で殺す芝居に参りました」
(野球の捕手が)「次は絶対に(盗塁が得意な)○○を刺してみせます」
(ゲーム攻略記事で)「この建物を爆破すると、近道が現れる」